近いうちに日銀が政策金利を追加で
利上げするような空気が醸成されている
ような感じがします。12月の決定会合で
植田総裁がそう発表するかどうかは
わかりませんが、少なくとも市場では
利上げによる景気減速をおりこむような
動き(株価の下落)をしています。
金利が上がると、お金を借りる側は
厳しくなる側面があると思います。
たとえば変動金利で住宅ローンを組んで
いる人は、返すお金が増えたりします。
銀行にお金を預けている(貸している)人
にとってみれば、利息が増えるので
嬉しい話ですが、銀行はその逆になる
わけです。
前総裁のときに異次元とも言われた
金融緩和をしました。政策金利を下げて
世の中にお金を供給すれば、景気がよく
なるという考え方です。景気がよくなって
モノが売れるようになると、賃金はあがる
かもしれないけど、消費拡大によって
需要が増えると物価が上昇してしまうから
再び金利をあげてブレーキをかけると
いう皮算用です。
金融緩和によって景気がよくなったか
どうかは別として(なってない)、
低金利にしたことによって、日本円を
保有するメリットが減ってしまったので、
円安にはなりました。
円安というのは、外国の通貨に比べて、
相対的に円の価値が下がることです。
たとえば、1ユーロの商品が、これまで
150円で買えていたのに、何かの事情で
交換価値が変わって、200円支払わないと
買えなくなることを円安と言います。
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このところ、じわじわと物価が上がって
いますが、G7の中ではワーストになって
いるみたいです。少し前まではウクライナと
ロシアが戦争を始めたことによって原油や
食料が高騰しているのが原因だと言われて
いましたが、じつは原油の価格は
その後下落しているし、かならずしも
いまの日本の物価上昇を説明できるわけ
ではありません。
むしろ問題なのは、異次元の金融緩和が
呼び込んだ円安です。
日本は海外からの輸入に頼るしかない
ですから、同じ買い物をするなら円安は
不利に働きます。金利を調整することで
経済が減速する可能性はありますが、
政策金利を上げなければ、円安が続くこと
になるでしょうから、政策金利を変え
なくてもデメリットになります。
政府が物価高騰の対策として、おこめ券
を配付するという話があるようです。
そりゃ配ればみんな喜ぶでしょうけど、
原因が円安であるなら、配付しても一時
しのぎ(むしろ負債は多くなる)であって、
根本的な物価高騰の解消にはならない
と思いますけどね。






