2025-07-03

帆打瀬

7月2日の朝日新聞に小さな記事で
北海道東部の野付湾でホッカイエビ漁が
始まったと書かれていました。
横長の写真には、漁船が4隻並んでいて、
それぞれ三角の帆を3枚ひろげていました。
漁場まではエンジンで向かうわけですが、
現場では帆で風を受けて、船を真横に
スライドさせながら網をひくようです。

なにやら風流な光景だな・・・と、
ちょっと写真を見入ってしまいました。

この船は「打瀬船(うたせぶね)」と
呼ばれますが、風の力を借りるのは、
漁場でエンジンを使うと、スクリューで
海藻を傷める恐れがあるからだそうです。

「帆打瀬」は昔ながらの漁法なので、
SDG'sという感じもしますが、船を風下に
スライドさせながら海底付近まで袋網を
引くというのは、じつはかなり効率的で、
明治の頃は他の漁法を使う漁民と
紛争が起きたぐらいです。

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いまは、小型の漁船でもエンジンで
走行するのが前提になっているので、
打瀬船は特殊な存在になってしまいま
したけど、100年ぐらい前は、まだ各地で
見られたのではないかと思います。

九州では、ちょっと前まで八代海で
「帆打瀬」によるエビ漁が続いていた
ようで(いまは知らないけど)、場所に
よっては漁協が「体験コース」を
提供していたりします。

スクリューで藻場を傷つけないよう
にするという理由もあるのでしょうけど、
エンジンの音で、エビなんかが逃げて
しまうのを防ぐ目的があるような
気がします。